(  市)ルネサンスへ<2015-0807-b-0814 夢の中、



8:作りもの


それは、人民大衆がそれを望み、願ったことなのである。
権威、つまり、教授や弁護士、新聞やテレビは、
ただ大衆が望むことを忠実に反映するのである。
この忠実さこそが、権威の値打ちといったものである。

大衆は、正義とか悪などといったこととは無縁の存在である。
そんなことよりも、自分にとって有利なこと、便利なこと、
楽しいことだけを願うのである。それも手間ヒマかけず、
おカネもかけずにである。とすれば、どうしてもカタチだけの、
中身がカラッポのイミテーションになるしかない。
そして、まさにそれこそが、大衆のもっとも望むことなのである。

中身と内実が限りなく薄れてゆき、それに反して、
外面の形式だけが立派になって、内面から離れてゆく。
まるで、なにかのヌケガラのような、まったくわけのわからない、
得体の知れないものになってゆく。

あるのは、目に見える外面だけで、その内容としての、
精神的で内面的なものが、限りなく消失してゆく。
現実の世界というのが、まるで夢の中のように、
「作りもの」の世界のように思えてくる。
客観的な確固たる現実性が感じられないのである。

 戻る。              続く。
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