(  市)ルネサンスへ<2015-0828-b 夢の中の人影、 



2:自分のすがた。


それがいったい誰なのか確かめようと、こちらからも、
目を凝らしてじっと見つめているのであるが、
目のまわりがいつも陰(カゲ)に閉ざされていて、
よく見えないのである。いくら、目を凝らしても、
相手の目が見えないのである。

だから、いつも誰なのかわからず、それが気になって
仕方がないのである。いつも自分の陰(カゲ)ように
つきまとい、それがいつまでたっても、得体の知れない、
正体不明のままなのでる。それは、きっと、
「僕自身の姿である」としか、言いようがないのである。

現実から離脱した、自分自身の観念のすがたである。
あこがれや希望、絶望や苦悩といったものが、無意識の世界で
現実のイメージとして、その姿として現れているのである。
だから、これは幻覚である。と同時にそれは、
自分自身の観念の世界が、イメージ化されたものでもある。
だからそれが誰かというのを、知りようがなかったのである。
それは、自分自身の姿だったからである。

現実に生きている肉体としての僕自身から、
意識だけが分離して、孤独な観念の世界のなかで、
自分自身を見ているのである。意識の中にあった
不安や悩み、苦しみ、動揺といったものが、
なにかのイメージ、それも情緒とか感情を表現する
人間的なイメージ、つまり、人の影として直感されて
イメージされてくるのである。

 戻る。                 続く。

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