( 市)ルネサンスへ<2015-1023-3 夢の中、
③衝動の見え方。
願いや望(ノゾ)み、祈りといったもの。あるいは、恐れやおののき、叫びといったもの。でもそれ以前に、何かおさえられない衝動があって、それが何なのか、自分でもわからないのである。その正体が自分でもつかめず、まったく理解できないでいるというのが、夢の中なのである。 何かの、ハッキリした明確な目的とか理由がないのである。現実の具体的な裏付けがないのである。現実から切り離されているのである。だからまた、それが具体的なものとしても見えてこないのである。 だからそれは、おぼろげなカスミの中からぼんやりと見えてくる。まず、全体の薄い影が見えてきて、それから徐々に細かいところへ。誰にもよくわかる、特徴や象徴みたいなものを見えてきて、それから順に、どうでもよいものへと見ている。相手が近くまで来ないと、細かいところまで見えないからである。そして、近くになるにつれて、目とか、顔だちの特徴、本人を象徴する特徴が見えてくるのである。 しかし、やはりどこか違う。それとはまったく正反対の場合も多々あるのである。まっさきに、本人の象徴が見える場合である。例えば、近くにだれかいて、振り向いたり、見上げたりした場合である。真っ先に見えるのは、本人の目である。それから顔つきや姿へと移ってゆくのである。そうやって、相手を確め、相手の意図するところを見極めようとするのである。しかし、見極める必要のない場合、遠くにあるとか、急ぎでない場合、目的も意図もどうでもうよい場合には、相手の全体像が先に見えてくる。 |