(  市)ルネサンスへ<2015-1120 「赤と白」



11:残酷。


島という逃げ場のない、狭くて閉じた空間の中にあっては、
なんとしても、争いごとを避けなければならない。
島という空間的に閉じた世界での争そいは破滅的なのである。
逃げ続ける場所(空間)そのものが無く、最後まで、
とことん破滅するまで争われる以外にないのである。

だから、それはまた、なんとしても争い以前のところで制限されるように、
システムが機能するのである。そうでないと、
社会全体が共倒れになる。破滅的で、社会的資源が枯渇して行く。
大陸のように、どこか辺境の方から新たなシステムが入って来る、
ということが無いのである。だから、争いを避けるということが、
島という狭い空間でのシステムのあり方なのである。
バランスであり、生存の方向性なのである。
そうしてのみ、システムは維持され、保存され、継続して行くことが
出来たのである。

だから、政治の決めごとはタテマエとホンネに分離し、
その場その場面ごとに臨機応変に対処される。
悪くいうとエエカゲンであり、よく言えば柔軟な社会なのである。
だがそうした柔軟な社会にあっても、最後の、
そしてまた最後のギリギリのところでは、悪意といったものを
排除しなければならない。

それは、もちろん排除される者にとっては、日本という島にあっては、
それは、生きてはゆけなくなる、生きていてはならない、
ということを意味している。だからこそ、それが、社会的強制力、
規制として機能し得るのである。それは残酷な、もの言わぬオキテであり、
シキタリであり、だれもが知っている、暗黙の了解事項といったものである。

 戻る。                 続く。

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