( 市)ルネサンスへ<2015-1120 「赤と白」
7:赤色(アカイロ)。
では、「赤」は何か? それは血の色、躍動する生命の象徴、または、死の残酷な色である。 つまり、この世の生と死のすべての象徴なのである。 例えば、赤が血を連想させる色でないにしても、やはりそれは赤ん坊の、 ピンク色の素肌を、生命の息吹きを感じさせる。 イヤ、それが偏見だというのなら、それも無視しよう。しかしそうしてみても、 やはり、赤という色はもっとも残酷なまでに、どこまでも意志的で感情的な 色である。非妥協的で自らのみをあくまで、どこまでも押し通そうとする、 そんな色である。自分の生命のすべてを賭けてもなお、 恐れはしない、そんな色である。そしてそれが、 オキテ(掟)とか戒(イマシ)めといったものなのである。 けっして逆らうことの許されない、宿命とかサダメといったものなのである。 それは、早春の桜の花びらにも例えることが出来る。 生まれたての、あわくて白い花びらの中に、ほんのりと、 ほのかになピンク色に染まっている。ピンクの非常に薄くて弱い赤色が、 白い花びらの中で自己を主張しているのである。 生まれたばかりの、とてもひ弱で壊れやすい色である。 |