(  市)ルネサンスへ<2015-1127 新、アイドルの女子。



2:ペット。


ただひたすら、みんなと、だれともなかよく、けんかもあらそいもなく、
ひたすた気持ちよく、わずらわしいこと、みんながイヤがることには、
つとめて知らんふりで、無視して、見ていなかったことにしている。
そうした、生きる精神のあり方、自分自身のポジション(居場所)
といったものが、そのまま、顔の輪郭、カタチや、カラダのポーズ
といったものに、あらわに現れている。

そしてまた、そうした生き方が、世間のだれもが好み、望むものとなっている。
それは、今日の日本という現実が生み出した、人間の標準モデルであり、
精神のあり方なのである。社会的合意と総意の芸術的表現なのである。

これでは、現実の実際に起きている問題といったものが、
何も提起されることがないし、そしてまた、解決されることもない。
いわば、眠っている状態、夢の世界である。のぞんだことが、
そのまま目の前に現れてくるし、都合の悪いことは、いつのまにか消えて、
隔離されてしまう。なにも変わらないし、同じことが永遠に繰り返される
だけである。こうした状態をもって、それが理想の社会だと思い込んでいる。
夢とマボロシと幻想の世界を永遠にさまよい続けている。
まるで、母親の部屋しか知らない、世間知らずの、受験勉強しか知らない、
お嬢ちゃま、お坊ちゃまの世界である。大人の顔をした幼児である。

彼女の口元、目の輝き、表情の輪郭をかたち作っているシワといったもの、
そうしたもののすべて。彼女の意志、彼女にしかない彼女だけの、
なにか精神的な意志といったものが、無いのである。これではまるで、
タマシイを抜き取られた、作りものの人形のようだ。だからまた、
だれからも愛され可愛いがられるのである。そしてまた、ただそれだけの、
ペットのような存在なのである。

自分自身の考えというのを持たない。それはいつも自分の外から、
だれか偉い人が持って来てくれる。テレビ、新聞、政府がそうである。
そしてそれをただ、コピーして、受け売りするだけの、無力ではかない存在。
まるで、人の顔をした人形のように。

 戻る。                 続く。

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