(  市)ルネサンスへ<2015-1204 見えるもの。



2:印象。


カタチというのは、ものというのを同じ基準で、
つまり、明るさ暗さの線のみで表現している。
そして、それぞれが持つ、異なる「質」といったものを無視して、
表面上の目に見えるカタチだけで表現しているのである。
だから、内部の個性といったものは無視するしかないのである。
そうしてのみ、カタチとして見えてくるのであって、
それは同時に、内部の個性といったものが、
見えることがないということである。

個性としての内容を無視することによってのみ、
カタチになるのであって、カタチとして見えてくるのである。
異なる他のもの同士が比較可能なカタチになるのである。
言わば、昔の白黒映画のようなものである。
灰色の記憶の世界である。情報量を極端に圧縮し省力化して、
そして、頭の中で手抜きして抽象化しているのである。

抽象化された記憶の世界の中で、自分と現実との間に
カスミのようなものが漂っているのである。それが現実から
「色」というのを消し去って、見えにくくしているのである。

だから、それは現実ではなくて、記憶の中の世界なのである。
簡略化され、省力化され、記号化された印象の、
記憶の世界なのである。

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