( 市)<ルネサンスへ<2015-1211 続、生物的映像。
4:必然性。
目に映る外の世界の、明暗の諧調と色彩の豊かさといったもの。 またそうした模様といったものが、時間とともに変化し、 現れては消えてゆく。そうした時間的変化の異相といったもの。 リズムやアンサンブル、シンフォニーのようなもの。 肉体のバランスと調和の世界。それはまるで、 生きて鼓動する精神のリズム、躍動する呼吸の 息吹き、そうした心と身体の調和といったものである。 それは何のためらいもなく、外に向かって開いた五感と、 肉体の生理が、内面へと向かう精神と呼応し共鳴した結果 なのである。肉体と精神が何かに包まれて溶けていって、 響きあい、調和しているのである。 そして、この何かとは、その場をつつむ空気であり、雰囲気であり、 その場の人々を支配している、持って生れ出た「情緒」とでもいった ものである。情緒が人間を支配している。その肉体の感覚と生理、 感情といったものを支配し、制約し、方向付けているのである。 そして、この「情緒」の根源であり、それを生み出し、 条件付けたのは、その民族が生きてきた風土そのものであり、 地理的・歴史的特性といったものである。 これら外的自然と内的精神の特性といったものが、 人間の肉体の感覚、例えば、視覚がたどるべき方向性や、 目標とすべき指向性の条件や必然性、 そしてそれが、必要とし、求めるものを定めて来たのである。 それは民族の、地理的・歴史的条件の産物なのである。 |