(  市)ルネサンスへ< 2016-0101  新、「ぼやける」。



4:情緒。


それは、感情でも思考でもなく、感覚が直接に感じる、物理的な
感じ方でもなく、ちょうど、それらの接点にあって、感覚でも感情でも
なく、自分自身の肉体の中に感じる、生理的な感触なのである。
感覚の、感覚に対する感じ方なのである。
はっきりした理由や、相手が不明のままの、気持ちや気分といった
ものなのである。いい知れぬ雰囲気とか、その場の空気とでもいった
ものなのである。そしてそれは、ひとことでいうと「情緒」といったもので
ある。

自分のものなのに、自分ではどうにもならず、そして自分を支配して
いる、自分が持って生れて出てきた「情緒」といったものなのである。
気質や気性とでもいったものである。自分の外の、
現実に対する肉体の感覚や、なにかの考えではなくて、
自分の肉体そのものの中にある、感じ方や、受け止め方、
気分や情感とでもいったものなのである。

自分のことなのに、自分で思い通りにならない。それどころか、
自分自身がそれに支配され、コントロールされているのである。
自分が知らないところで、自分が指向している必然性や、
その方向性を示している。もしもそれを個性というのならば、
そうしたことは、だれにでも言えることであって、むしろ、
個人が集団として共同体を形成した、歴史上の民族についての
ほうが、より強く、鮮明に現れている、と思えてくるのである。

 戻る。                 続く。

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