(  市)ルネサンスへ< 2016-0108 感覚。



2:祖先。


人間は、自分の目のなかで、祖先の記憶の世界を見ている。
それは、祖先から受け継がれた感覚器官の機能の仕方であり、
役割であり、肉体の生理作用のリズムや流れといったものである。
人間が見るもの、ないし、見なければならないものの、区別や識別、
その範囲や深度、そして方向を定め、規制し条件付けている
のである。そうした意味で、人間はこの世に生まれた途端、すでに、
そうした、定められた世界を生きているのである。

それは、人間が生きてゆく上で、どうしても必要な生存の仕方なので
ある。そうしたことが数千数万年にわたって蓄積し堆積され、
行動の型として、あるいは感覚の感じ方の様式や原理として定着し、
固定化されて来たのである。だからやはり、
人間が見るもの、聞くもの、触れるもの、それらすべてにおいて、
その仕方や感じ方、あるいは様式や原理において、それは、
自分の祖先が生きて来た結果なのである。それ以外にないのである。

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