(  市)ルネサンスへ< 2016-0115 続、感覚。



3:必然。


そうした意味での情緒は、すべての感覚について言えることであって、
むしろそうした、触覚や聴覚や視覚や味覚などといったものの、
様々な感覚の統合されバランスされたアンサンブル、音色(ネイロ)、
リズムといったものが「情緒」なのではないだろうか。

それは、自分自身の肉体の必然なのであって、流れであり、
求めるところなのである。そしてまた、そうした「情緒」というものが、
その民族特有の、美意識や感情のあり方、気質や気性などに
深く関係していると思えてくるのである。あるいは、その根底に
あって、それらを規制し支配している実体のように思えてくる
のである。

このような「情緒」こそが、その民族の生存と継続の基にあって、
それと一体となって、民族のシステムや生産と文化の様式を
形づくり、そしてまた、歴史の転換点において、その対応の
仕方や方向性を決定づけてきた必然の原理のように思えて
くるのである。

それは、人間の無意識の世界を支配している、
生理や感覚のバランスなのである。そしてそれがまた、
自己と、そしてまた民族の同一性(アイデンティティー)の
根源なのである。

 戻る。               続く。
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