(  市)ルネサンスへ< 2016-0115 続、感覚。



4:記憶。


感覚の感覚とは、意識以前の感覚だけで完結している、
感覚の世界である。いわゆる「情緒」のことである。
それは、意識とは直接の関係がないところでの出来事である。
意識の届かない、感覚の感じ方の世界である。

だから、いつでもどこでも、自分の意図とか意識とは関係のない
ところでも、それは作用しているし、実際、無意識のうちに、
人間の考え方や行動に、それ特有の、非常に大きな影響を
及ぼしている。そして、そうした特性を規制し条件づけているのは、
歴史以前のところで民族が経験してきた記憶である。
自然環境とのかかわり方や、文化といった、言葉にならない、
感覚の感じ方や、肉体のリズムとしての記憶である。

そうした、民族の情緒的特性といったもの、あるいはまた、
他の言い方をすると、そうした自覚されざる肉体の記憶とでもいった
ものが、人間の本能や衝動のなかにあって、それが何かの祈りや
あこがれとして現れたのが、民族の信仰や宗教といったもので、
そうした情緒といったものが、暮らしのパターンやカタチとして定着した
のが生産の様式であり、人間同士の関係として表現されたのが、
社会システムといったものではないだろうか。

 戻る。               続く。
<ルネサンスへ