(  市)ルネサンスへ< 2016-0115 続、感覚。



5:なりたち。


だから、民族の信仰とか政治体制、生産の様式などといったものは、
すこぶる個性的で特徴的なのであって、それは、その民族の「情緒」に
深く根ざしたものなのである。

むしろ、それはまた、その民族特有の情緒のなかでのみ成り立ち、
そして存在し得るものである。情緒が、それらすべての基底にあって、
それらすべてを条件づけ、制約し、方向づけているのである。
それは、持って生れた先天的な宿命とでもいったものである。
あるいは、原理とでも言ったもなのである。

そして、特に注意すべきは、そうした情緒といったものが、
人間の精神の中にのみあるのではない、ということである。

精神と肉体、そして外的自然環境とが一体となって統合された
ところに、情緒というのが成り立ち、存在しているということである。
精神と肉体、そして自然環境とがバランスされ、それらが自分の中で
調和されて、何かを求めて移ろい流れているところに、始めて
情緒というのが成り立つのである。

 戻る。               続く。
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