(  市)<ルネサンスへ<2016-0401  夢の中、



~5:届かない世界。


ところが、目の中の「まだら模様」というのは、理屈以前の、
意識しようのない、ばくぜんとしていて、ぼんやりした自意識を見ている
のである。混沌としていて、とらえどころのない、何にでもなるし、
同時に何ににもなれない、意識されることのない、意識することも
できない、本来は見えるはずのない、自分自身の無意識の世界を
見ているのである。

だからまた、それが何かのハッキリした姿やカタチとなって、
現れることがないのである。カタチの無いものを、カタチとして表現しよう
がないのである。それ以前の世界なのである。にもかかわらず、
記憶のなかで、何らかのカタチとして残さなければならないのである。
そうでないと、記憶にならないからである。自分のなかで保存されて、
自分のものにならないからである。

しかしまた、それは、限定され区別された、限界のある力学的な図形
にもなれないのである。それは、とらえどころのない自分自身の、精神の
無限の広がりと深みを意味しているのである。理屈でも意識でもなく、
それ以前の意識の届かない世界を表現しているのである。

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