(  市)<ルネサンスへ<2016-0401  夢の中、



~7:衝動。


衝動が先行する場合。
たとえば人であれば、その目とか顔の表情が真っ先に出て来て、
その輪郭、すがたといったものは、どうでもよいものとして最後に見えて
くる。衝動と情感が先行するのである。それが何かという印象とか、
象徴するものとか、特徴的なものが、まず初めに見えてくるのである。

それは直接に情緒を表現している。現実にある何かを象徴し
暗示するものとして。しかし、それが何かというのが最後まで分からない
のである。現実から切り離されているのである。だから、暗示と象徴
なのであって、そこから出ることがないのである。

現実とは別の世界なのである。いつまでたっても、それが果たして
何だったのかいうのが分からないままなのである。それは情緒の世界を
映し出しているのであって、その原因となった現実の理由や動機
などといったものとは何のかかわりのない世界なのである。

それが何かを暗示するにとどまるのは、情緒が情緒だけで自分を
表現しているからである。情緒だけではそれが何かというのが
わからないし理解も出来ず、記憶にならないからである。だから情緒
なのであって、情緒とは、そうした意識とか思考の届かない世界なので
ある。情緒が、現実との接点のない所で、現実から切断されて、
現実を無視し、情緒だけ自己内完結する世界である。

だから、意識とか思考の脈絡といったものが、初めから欠けているか、
途中で途切れている。思考を無視して、情緒だけで勝手に物語を
作り出しているのである。だから、話の筋といったものが成り立たず、
支離滅裂で、思い込みと気まぐれと空想だけがみずからの望むまま
に現れては、消えてゆく。望めばなんでも出てくるし、要らないものは
いつの間にか消えている。自分の思いのままなのである。

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