(  市)<ルネサンスへ<2016-0401  夢の中、



~8:感覚の夢。


しかしたしかに、自分が望まないもの、要らないもの、
それとかイヤなものが、夢の中にむりやり、いきなり出てくる場合がある。

一つは、生理的・感覚的な原因で現れる場合である。
例えば、フトンが重く胸を圧迫し、息苦しくなって、何かに襲われたり、
追いかけられたりする夢を見る場合がそうである。
あるいは、寝ている姿勢の関係で、カラダの一部だけが冷えていて、
夢のなかでそれが人の気配として感じられ、現れてくる場合などである。

もう一つは情緒的なもので、情緒が意識を無視して、
情緒の都合だけで、夢のなかで物語を作り出している。
なにげない日々の暮らしのなかで、ふだん気にしていること、
気に病んでいることがあって、それが夢の中で、まったく別のカタチを
とって現れてくる、あるいは、それとは関係のない物語として現れて
くる場合である。 

例えば、気が滅入ってやりきれないという心情だけが強く現れていて、
それだけが大事なのであって、それ以外の物語の理由や原因は
どうでもよいものとして、夢が物語を勝手につくりだすのである。

それは普段から気にしている「何か」を、意識以前の、
それと意識されることのない、情緒の世界で表現して見ているので
ある。だから、その「何か」というのが直接、そのままのカタチで現れる
ということがないのである。それは、なにかそれとは関係のない、
別の出来事、別のカタチとなって現れてきて、それとなくそれを示唆し、
暗示している、そうした、意識されることのない、無意識の世界、
情緒の世界なのである。

 戻る。                            続く。

<ルネサンスへ