(  市)<ルネサンスへ<2016-0401  夢の中、



~9:領域。


そして、そうした情緒が暗示し、比喩(ヒユ)するもの。
そうした何かが人間の心のなかに入ってきて、それを支配し、
方向づけ、堆積されてゆく。それは個人の感覚の世界でもあるし、
また数千数万年にわたる祖先の暮らし方が求め導き出した、
生理や感覚のカタチやパターンと言えるものなのである。

こうした、自分でも意識されざる無意識の感覚、感じ方といった
ものは、それがはっきりと意識されないものであるがゆえに、どこにでも、
いつでも入ってきて、人間の感じ方、考え方を支配してゆく。

つまり、方向性とか規則性とか、パターン化された感覚の感じ方とか、
特殊化され最適化されてゆく民族特有の性質といったものである。
そして、こうしたことが情緒のあり方といったもので、情緒そのものを
支配しているのである。

このような「情緒」の特殊性や方向性、規則性などといったものが
一体となって、独自のもの、特有のものとして、さまざまな情緒の
タイプや様式が、そこから区別され、形成されてくる。こうしたことが、
現実に生きて活動している情緒のあり方である。

このような情緒の、その区別された、それ特有の領域と境界線、
そしてこの境界線に沿って結び付けられ、形づけられた輪郭といった
もの、そのすがたといったもの、それが、歴史上、そして地理上に
現れてくる。そしてこうしたことが、現実の生きた、民族特有の「情緒」
ではないだろうか。

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