(  市)ルネサンスへ<2016-0603 春かすみ、



~3:水の色。

しろ色。それは水の色である。
それも気体化したカスミ(水蒸気)の色である。
それは、夏の高温下で飽和され尽された、ただ蒸し熱いというだけの、
厚かましく、おせっかいで、ふてぶてしく、自分勝手で、それでいて、
ふやけて、だらけた、そんな夏の「黄色」ではない。

あるいは冬のような、透明で、閉じて、沈んで、ひきこもったような、
そんな「青色」でもない。
かといって、うすい「灰色」混じりの秋の風景のような、まるで祭りの後の
ような、暮れなずむ夕日に闇が迫るような、そんな内省と追憶の世界
でもない。

閉じた世界がゆるんできて、そして開いて、そこから何かが始まり、
何かが生まれ出る、そんな予感と期待が交錯する、そんな春の空気の
「色」である。それが白いろなのである。祈り、願い、あこがれ、夢見る
ような色である。そしてまさしく、感覚的にもそうなのである。意識を
無視して、自分の肉体がそれを直接感じているのである。

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