(  市)ルネサンスへ<2016-0603 春かすみ、



~6:いざない。

それでいて、空気はいまだ冷たく、日陰では寒さがまだ十分に残って
いる。だから、身体(からだ)がじっとしていられない。
いまだ冷たさの残る肉体表面と、外の暖かい日差しが、何かを求め、
それが目指すところを探している。肉体のなかから緩(ゆる)んできて
開いた何かが、外へ出ようとしているのである。肉体のなかの奥底から
押し出されて浮かんで来た、なにかが映し出されている。それでいて、
自分の外からも導かれ、誘われるように。

カラダ(身体)が優しげで暖かい、外の光と明るさを求めて出ようとして
いる。自分のなかで閉じていた何かが緩(ゆる)み、そして開き、
そして何かへ向かおうとしている。それは自分の中にある指向性であり、
自分でも得体が知れず、コントロールも出来ない衝動、本能とでもいった
ものである。

 戻る。                          続く。

<ルネサンスへ