(  市)ルネサンスへ<2016-0610 ぼやける、



~2:印象。

たとえ、目指すものが見えていなくても、それに必ず伴っているもの、
それにしかないもの、それにつながっていて、それ以外にあり得ない
もの、それというのが、目指すものとの関係の中でしかあり得ない、
といった、そうした前ぶれ、徴候、かすかで微妙な空気の流れ、
影や気配といったもの。そうした雰囲気から、実際には見えないものを
感じることがあるし、また、それが見えて来るし、見えたと思えてくる
ことがあるのである。

それは、言うなれば「観念的映像」とでも言うべきもので、
自分のなかにある無意識の記憶が偏見となって、現実に見ている
ものを誇大に拡張したり、あるいは歪めて見てしまっているのである。
あるいはまた、恐怖のどん底で、はたまた歓喜の絶頂のなかで、
無いものを「見た」と思い込んだりするのが、それである。

それは、例えば絵画の世界で、印象的な部分、強調したい部分
だけを大きく、色鮮やかに、極端に表現するのとよく似ている。
人間の感覚も、またその感じ方も、そのように現実を見ているのである。

 戻る。                          続く。

<ルネサンスへ