ルネサンスへ<2016-0617 続、ぼやける。



~13 意味なき残酷。

このような、ぼやけてぼんやりした自己意識の欠けた社会にあっては、
気まぐれな野蛮さと、無意味な残酷さが重要な意味を帯びてくる。
別の、言い方で表現すると、暴力と命令と恐怖である。それ以外に、
人々を結びつけるキズナ(絆)がないからである。

自己意識のないところに自発的なつながりなどなく、それを結びつける
ものとしては、暴力的な強制しかないからである。何一つ制約される
ことのない、気ままで自分勝手な、気まぐれだけが支配する世界に
あっては、それを抑えて制御するものとしては、暴力的な強制しか
ないからである。

気まぐれと感情だけが支配し、なんの因果関係も、原因と結果の
ハッキリしたつながりも、ありようがなく、そして理由も、意味もあいまいで、
ぼんやりした世界。そうしたなかで、唯一、重要な意味をもてくるのは、
その無意味な残酷さでである。肉体的な残酷さだけが確かなもの
だからである。それは、意味なき残酷さであればあるほど、意味を
増してくるのであって、無意味であること自体が、重要な意味がある
のである。


 戻る。                          続く。

<ルネサンスへ