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4、現実のすべて。


たとえ観念の世界で抽象化されても、現実というのは、どこまで行っても個別的であり具体的なのである。現実世界というのが抽象化されるのは、現実そのものが、抽象化し尽くすことが出来ない、無限に未知のものだからなのである。

だからそれを、擬似的に抽象化して関連付けて理解しようとしているのである。しかしまた、この抽象化自体が思考の働きによるものであって、それは現実の世界とは別のものであって、それはただ自分と現実との関わり方を知り得るに過ぎないのである。

しかしまた、人間にしてみればそれで十分で、それ以外のことを知りようがなく、知り得ず、知る必要もなく、そしてすなわちこれが、人間と現実とのかかわり方なのである。人間にしてみれば、これが人間にとっての現実のすべてなのである。



戻る。                     続く。


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