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4、概念。


ここで気になることが浮かび上がってくる。人間はなぜニセようとしたり、他人のマネをしたりしようとするのか、ということである。そして、このようなニセたりマネたりすることが、どうしてできるのか、ということである。

マネようともするし、またそれができるというのは、お互いがどこかに共通の土台があって、共有される何かがあるからである。たとえば人間であれば、それが人類という種の同一性がそれなのである。

それはまた、民族という概念についても言えることである。この場合、それぞれの民族同士でどこか違うから、それが民族という同じ概念で纏(まと)められるのである。

また、この「違う」という考えが成り立つのも、それぞれが無限に広がる違う民族同士の、共通性があってこそ成り立つ考え方なのである。このような共有される共通の土台があってこそ、それをどこそこの民族として区別することができるのである。

このような共通の土台が無ければ、それらは一括に纏(まと)める「民族」という概念自体が成り立たないのである。異なる民族や人種同士の比較そのものが不可能なのである。



戻る。                    続く。


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