index< 日誌 < v夢の中< 21-70「ウサギ2:きず」 |
それは、ウサギのように柔らかく、優しく、ふわふわとこの身を包んでくれるような、そんな暖かさなのである。しかしまたそれは、はかなく壊れそうな、無防備で、自分を守る武器というのを持たない、そんな限りなくもろくて弱い、そしてはかない存在なのである。 それは、どこかで忘れられていた自己の傷口の、裂け目から溢れ出てきた、過去の記憶の痕跡なのである。そしてそれは何でもよい、しかし何らかの目に見えるカタチとして、現れて来なければならないものだったのである。 そしてこれが最初に見た、「壁にぶら下げられたままのビッコの子ウサギ」だったのである。もしかするとこの「傷ついたウサギ」は、夢の始めではなくて、夢の終わりのシーンだったのかも知れないのである。 しかしまたそれは、どうでも良いことで、どうにでもなることであって、大事なことは、それが夢の物語のキッカケになっているということなのである。時間的な原因と結果の順序というのは、夢の中では意味を持たないのである。 |
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