index< 日誌 < v夢の中< 21-70「ウサギ2:きず」 |
壁面に傷付いた子ウサギがぶら下げられている。こんなことあるはずがないのに、と思いながら、チラリとそれを見て通り過ぎて行く。なにごともなかったように。そして、ウサギと僕たちとの間には、何か目に見えない薄いさえぎるもの、へだてるものがある。 ウサギは見えているけれども、まるで自分とは関係のないことのように、僕とウサギの間を何かが隔(へだ)てているのである。そうだ、僕は走行中の車の中から、それを見ていたのであって、車から降りることも出来ず、また、ウサギを確かめることが出来ない状態にあったのである。 だから気にはなるが、黙って通り過ぎて行くしかないのだと。とその時、僕の横で運転していた土方のオッサンが、「あれはアンタが轢いて傷つけたんやで」と、念押しする。 |
index< 日誌< v夢の中、< 21-70「ウサギ2:きず」