index< 日誌 < aa暗示< 22-52「早朝の風景――影のない世界」p7


1、乱反射する天空。


早朝、太陽はいまだ地平線の下にあって、その光りが天空で乱反射をくり返して、それだけで地上を照らしている。天空で乱反射した光が、どこからでも、どの方向からも、地上の物体を照らしている。

直射光はない、乱反射する間接光のみである。したがって、影を落とさない。どの角度からも照らされているために、影が生じないのである。これは、どんよりした曇り日もそうであるし、夜中の月夜の世界もまた、これと似た印象を受けるのである。

太陽の光の明るさといったものに、方向性がないのである。光は地上のどこからでも乱反射を繰り返して、地上のすべてのものを照らしだしている。そしてこの照らし出された物体の表面に、光の方向性がないのである。


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