index< 日誌 < aa暗示< 22-52「早朝の風景――影のない世界」p7 |
見える地上のすべての物体が自分に向いている。周りのなにもかもが自分を見ていて、自分がその中心にいる、そうした印象に襲われるのである。乱反射する、すべての角度に照射される光の方向が、地上の見えるすべての物体を、順光の下に見せているのである。 そしてそれが物体の正面のように見せているのである。本来あるはずの影といったものが、すべて物体の後ろ側に消えていて、そうして見える地上のすべてのものが、それが照射する光の方向というものが、自分の方へと向けられている。 そうしてそれが、自分がこの世界の中心のように思えてきて、それがまるで夢の中の世界のように思えてくるのである。自分が何か異質な別世界に迷い込んでしまったように思えてくるのである。 |