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3、自分が見えない。


光りはすべての方向から照射されていて、その方向を喪失している。このような方向のない光の明るさとは、すべての物体が光源のように見えてしまう。

少なくとも、そのように錯覚してしまうのである。また、それは自分が光源で、まわりの物体はただそれを反射しているだけなのかも知れないのである。それは、見る者と見られる物とが逆転してしまったように思えてくる。

自己と他者の区別がなくなって、それを意識することが出来なくなっている。自分と外の世界との境界線がなくなって、自分が周りに溶けていって、一体化して、自分を見失ってしまいそうになる。

自分で自分が見えなくなって、自分というのが外の景色に一体化して、その一部分になってしまっている。自分と外の世界との間の境界線が消えて、自分と他人との区別を喪失してしまっている。


戻る。                     続く。


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