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5、種の記憶。


自分で自分をコントロールできずに、自分の中で、自分がだれかに強制されている。そしてこの誰かとは、自分の中に住む、もう一人の他人のような自分のことなのである。

自分が自分に強制されている。そしてこのような自分とは、自分の肉体のことなのである。自分の意志や考えとは別の、それ以前の自分の肉体の営みのことなのである。自分の意志とは別に、肉体自身の中で保存されてきた「種の記憶」のことなのである。

このような自分の中の同一性といったものが、自分の意志や考えに背(そむ)いて、それに異議申立てをしているのである。自分の意志や考えといったものを生みだし作り出している、肉体の情緒といったものが自分の意志と衝突しているのである。

そしてこの情緒とは、いまは忘れられた祖先の記憶なのである。自分の肉体の中で営みの仕方として保存されてきた、種の記憶なのである。


戻る。                続く。

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