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9、幻想。


そしてこれは、自分がすべてを失ったときに、嫌でも思い知らされる。たとえば、会社や組織で成功した人間が、定年で組織から離れた途端、だれからも相手にされないようにである。

自分というのが、いままで会社組織という集団の中で生きてきて、それを条件にして、それに基づいて収入を得て、生活の基盤を整え、そこからまた自分の考えや、生き方や、好みや、趣味の傾向といったものが成り立っていたのである。

そして定年になって会社の後ろ盾がなくなった途端、自分の居場所と自分の考え、自分の自意識といったものを失ってしまったのである。自分の考えも自意識も、会社という舞台が作り出した、ただの幻想に過ぎなかったのである。

戻る。                続く。

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2019-0113-0120-B