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誰もがみな貧しく、そしてこの貧しさが誰にもどうにもならない貧しさであるならば、だれもそれに反感を抱いたり、苦しんだり、悩んだりもしない。また、それに疑問を抱いたり、それを貧富の格差として感じることもないのである。これは、貧しさ以前の世界なのである。 しかし、新技術と新発明は、このような社会の秩序と常識を根底から破壊する。そしてそれは自分にして見れば苦痛でしかないものなのである。自分たちの常識と自意識、社会的地位と自尊心を根底から脅かすものなのである。 自分がそれまで生きて来た人生の記憶が何の意味もないものに思えてくるのである。自分の存在が否定される。自分が蔑ろにされ無視される。自分の立場というのを喪失してしまう。だから、それだけはどうしても避けねばならず、許すことも妥協することも出来ないのである。 |
戻る。 続く。
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2019-0406-0408