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たとえば、ワケもなく心地良いとか、ムカつく、イラつく、あるいは恐れたり怯(おび)えたり、嬉しくなったり、舞い上がったりするのがそうである。その実、なぜそんな気持ちになるのか自分でもはっきりと分からないのである。 なぜならそれは、雰囲気や気分、空気とでも言ったものだからである。それは目や耳や鼻といった感覚とは別の、むしろそれらが堆積されて、それらが全体としてバランスされた感じ方、感性とでも言ったものだからである。気質や気性に近いものなのである。 そして、これがまた、夢の中の物語りや情緒の営みといったものを作り出しているのである。自分の中の象徴とイメージの世界がそうなのであり、衝動や「ひらめき」といったものがそうなのである。 |