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4、人権以前。


本来あるはずの自己の意識というのが、自分自身に対してではなく、あくまでも他人との間の表面的な体裁や世間体だけに終始するのである。しかし、これは自分の中に自分を省みる自己意識がない以上、仕方のないことなのである。

従ってまた、人権もプライバシーなどという概念自体も存在しない。しかしまた、そうやって自分を確かめ納得する以外にないのである。これだけであり、これが自分にとっての人生のすべてなのである。

そしてまた、自分だけでなく、自分と妻子の生死もまた、この外面だけの世間体によって何もかもが判定されてしまうのである。要するに、自分というのが始めから最後まで存在しない、そうした世界なのである。

戻る。             続く。

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