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秋の地平線はどうか。 これはむしろ、確かに白ではあるが、灰色混じりのモノクロのような白である。また、天空と地上までの濃淡がはっきりしない。つまり、空が乾燥しているのである。 空全体がたいてい同じ色なのである。夏のような地上から天空へ行くに従い白色が薄れ、黒色が混じってゆくことがないのである。全体的に明るさが少し不足気味のグレーな感じがするのである。 また、湿気の不足から風景全体に夏のようなクッキリした迫る印象がない。大気中の水蒸気が風景全体の輪郭線を浮かび上がらせる、といったことがないのである。 だからまた、天空から地平線まで、たいてい同じ青、それも灰色混じりの薄い青色のままである。そして白色が少ない。地平線ぎりぎりまで灰色混じりの青が迫ってくる。そしてこれがまた、透き通るような空の印象を与えているのである。 晴れた秋の空。秋晴れというのは、このような見通しのよい、湿気と水蒸気が少なく乾燥した、そうした遠くまで見通せる、そうした意味での「晴れた」色なのである。むしろ、灰色混じりの青色が天空から地上にまで降りてきた感じなのである。 |