index< 日誌 au錯覚< 24a-85 「幻想の世界」p12

11、囲いの中。


自分が生きている以上、そして生きて行く上で、嫌でもそうした自分に反する自分というのを意識せざるを得ないのである。これは、たしかに個人のことなのであるが、個人同士の間でもそうしたことは、同じように起こっている。
 
馴れや習慣、作法やシキタリ、そしてし社会システムと政治体制がそうなのである。あるいは、人間が生きていることのすべてが、そうであると言ってよい。そうした現実を離れて、人間が生きて行けないという意味でそうなのである。

人間はこのような、あらかじめ定められた枠と囲いの中でしか、生きることを許されない存在なのである。しかしまた、そうした枠そのものが、自分自身の精神とは別のものなのである。それは、自分が望み願うものとは別のものなのである。それは他人から与えられたものなのである。

戻る。                続く。

index< 日誌 au錯覚< 24a-85 「幻想の世界」p12
2019-0609-0618