index< 日誌 < au錯覚 < 24b-38思い込みB 「祖先の記憶」p9 |
しかし、それは仕方のないことである。先の方で述べたように、これは失われた記憶の世界であって、いまさら、その理由や原因などといったものを確かめることも、見つけることも出来ないのである。 また、そうした理由や原因といったものが、本来の始めにあったところの自分の記憶から切り離され見失われているのである。そうである以上、それは自分の中の生きた情緒の世界に求めなければならないのである。 つまり、現実の出来事やものごとの意味といったものを、自分自身の中にある、自分の感覚の世界に求めているのである。自分自身の感覚の感じ方や、現実世界との係わり方の中に、それを求めているのである。 そうせざるを得ず、そうするしかないのである。そうして感覚が感覚を見つめている。自分が自分の存在に疑いを抱き、そして異議申立てをしているのである。 |