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3、自分が見えない。


まるで井戸の底の地底から聞こえてくる「うめき声」のように。暗闇の中から聞こえてくる叫び声や、あるいはまた、ヒソヒソ話のように。あるいは、首筋や、背筋や、足元に触れては撫でて行く何かの気配いのように。

逃げることも避けることも出来ない絶対的な不可抗力として、自分を包み迫ってくるのである。そうして自分が支配されて行く。自分が自分でなくなって、自分が自分以外の者によって支配されて行く、そんな気がしてくるのである。

自分というのが、現実の自分と精神の世界の自分とに分裂して、そうして、どちらが本当の自分なのか分からなくなっている。あるいは、もしかすると、どちらも自分でないのかも知れない。

現実というのが、まるで舞台の上で演じられる芝居のように思えてくる。白々しくわざとらしい自分が、そこに居る。これは自分ではない。そうした、自分を外から見ている、もう一人の他人のような自分がいる。

戻る。                続く。

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2018-0725-0811