index< 日誌 <l見えないもの< 24b-71「妄想する感覚」p6 |
まるで井戸の底の地底から聞こえてくる「うめき声」のように。暗闇の中から聞こえてくる叫び声や、あるいはまた、ヒソヒソ話のように。あるいは、首筋や、背筋や、足元に触れては撫でて行く何かの気配いのように。 逃げることも避けることも出来ない絶対的な不可抗力として、自分を包み迫ってくるのである。そうして自分が支配されて行く。自分が自分でなくなって、自分が自分以外の者によって支配されて行く、そんな気がしてくるのである。 自分というのが、現実の自分と精神の世界の自分とに分裂して、そうして、どちらが本当の自分なのか分からなくなっている。あるいは、もしかすると、どちらも自分でないのかも知れない。 現実というのが、まるで舞台の上で演じられる芝居のように思えてくる。白々しくわざとらしい自分が、そこに居る。これは自分ではない。そうした、自分を外から見ている、もう一人の他人のような自分がいる。 |