index< 日誌 <l見えないもの< 24b-71「妄想する感覚」p6 |
「気配(けはい)」とは、肉体表面に触れる空気の質と、その感じ方のことであって、主に温度や湿気、空気の揺らぎとしても感じられる。それに空気の柔らかさや鋭さ、鈍感さ、よどみ、にごり、あるいは緩さや「きつい」感じなどもそうである。 また、自分の外から感じられて来る、人間の体温の方向、そしてまた、どこからか自分を凝視する目の視線からも、相手の気配といったものが感じられて来る。そして、これらのことが、よどみ、湿気た風と結合することによって、まったく別の感触をもたらす。まるで、それが生き物のように人間の肌を撫でて行くのである。 夏の夜の暗がりのよどんだ空気の中で、湿気を含んだ生あたたかい空気が、自分の首筋や背筋や足元を撫でて行く。 |