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夢の中に出て来る、あるいはまた、真昼の陰の暗がりの中から見えてくる、それとも、見えたのか見えなかったのか自分でも分からない、そんな一瞬である。あるはずのないものが「見えた」のではないかと思えてくるのである。 だから、それはやはり錯覚であり、幻覚なのだ。しかし、それでも気になって仕方がないのである。そんなうとましく、わずらわしい瞬間である。あるはずのないもの、見えるはずのないもの、あってはならないものが、たしかにそこに見えたのだと、そう思えてきてならないのである。 |