index< 日誌 < y肉体 < 24c-15種の記憶J 「夢の中」p5 |
夢の中や、暗がりの中から見えてくるのは、いつもたいてい人の姿か、その表情である。少しうつむきながら、じっとこちらを見つめている。 オバケと言っても、破壊されたバラバラな顔面ではなく、そうかといって恐ろし気な目を剥き、睨みつけ、いまにも襲いかかってきそうな、そんな形相でもない。むしろ、そういうのは怖くないのである。白けて煩わしいし、それにみっともないし、面倒くさいだけなのである。 だいたいから、それ以前に、自分自身にそうした襲われるような理由がないのである。それは、言いがかりとかイチャモンとでもいうべきもので、ピントはずれというか、どこかヌケてズレたマヌケにしか、僕には見えないのである。 |