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だから、そんなときの恐ろしさというのは、憎しみや怒りなどといった、そんなものではなく、呪い、祟り、恨むようなそんな物静かで穏やかな内面の世界なのである。外面的な目に見える動きなどではなく、もっと内面的な、直接心の中に入り込んできて染みてくるような、そうした非現実的な情緒の世界なのである。 現実の何もかもすべてを無視して、直接心の中へ入ってくる。そうした非現実的な、現実から切り離された純粋に感覚だけの世界なのである。だから、これこそがもっとも恐ろしいのである。 自分で自分を覗き込んでいる。そして自分で自分を呑み込み食べ始めている。そうして決して救われることのない底なし沼、無限の闇の世界へと自らをいざなって行くのである。そうした自分に気づいたとき、こんな恐ろしい世界が他にあるものか。 |