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情緒自体に具体的なカタチなどなく、あるのはただ、閉じた自己の内部での感じや雰囲気や気分といったものだけなのである。だからそれが現実の具体的なカタチを得たときに、始めてそれが表面に出てくるのである。 自己の中身としての情緒は、そのカタチとしての表情やポーズとは別のものであって、このような事情から情緒は種々様々なカタチを通して、それに乗り移り、成り済ますことによって自らを現わしてくるのである。 情緒自体は自分自身を知らず、知りようもなく、知ることも出来ずに、ただ表情や仕草といった現実の見えるカタチを通して、それを知ろうとしているのである。 |