index< 日誌 < v夢の中 < 24E-65「廃墟のベンチ」p3 |
そして、「K夫人」が洒落た彫刻のベンチに座って誰かと話をしている。ここに居てはならない。ここを離れなければならない。僕は仕事で来ているのだ。僕は、ここでK夫人にかまっていてはならないのだ。 それに僕にはK夫人に話しをする、そんな話題など何も持ち合わせていないのだ。さりげなく、気づかれないまま離れなければならない。しかしそれでも何か忘れ物をしているようで、何かとっても大切なことを忘れていて、しなければならない大事なことが他にあるように、思えてならなかったのである。 しかしなぜか心地良く、気分がいい。ずっと変わらずにこのままで居続けたい。そうだ。これは夢の中の世界だったのだ。僕は夢を見ていたのだ。これは一人ぼっちの僕だけの世界なのだ。そして夢はいずれ覚める。 |