index < 日誌 < aqまやかし< 「オトナの話」p3/


 
2、暗黙の合意。



だから聞きかじりのホラ話しが多く、たいていそれだけで、法律の抜け穴とか、「どうにでもなる」とか、「何とでもなる」などと子供みたいなことばかり言っている。法律とは、他人に対する以前の、自分自身の良心なのである。自己意識なのである。自(みずか)らの意志なのである。それが無いのである。

世間を偽り、だまして生きて行こうとする以上、だれからも信用されず、それどころか人間として相手にされなくなる。しかし、それでもそれが通用するというのも事実なのであって、というのも、社会全体がそのように出来ているからである。

なにかを生み出すとか作るということがなく、同じところをグルグル回っているだけで、そして正に、それが秩序であり、仕組みであり、人間関係となっている。そしてまた、それが自分たちの精神の領域であり、境界であり、そのすがたカタチとなっている。すべてが、すでにあるもの、「お上」から与えられ、引き継がれて来たものである。自分たち本人が作り出したものなど何もない。そうした社会である。

これを、反対方向からながめて見ると、何かを生み出したり、新たに作り出すということがあってはならない世界である。永遠に固定したままの不変の世界、それがこの社会の前提となっている。

だから人間関係というのが「上下関係」、つまり、上か下かという人間同士の序列が社会の要(かなめ)の中心になっていて、それに従わない異質なものを排除するというのが、社会全体の暗黙の合意事項となっている。ヨコに群れてタテに媚びる、それだけでゴハンが食べて行ける世界である。また、それ以外に、生きて行く方法のない世界でもある。

戻る。            続く。


index < 日誌 < aqまやかし< 「オトナの話」p3/