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2、偏執。



そう言えばたしかに黄色もそうしたところがあって、自分の道を行くというか、自分だけの欲望みたいなところがあって、何かに執着し続ける、執拗で、とことん最後の最後までつきまとうような、そんな偏執的で、自分勝手で、だれにも相手にされない独善的な「色」だ。そんな黄色は、相手に対してどこか付きまとうような色である。

にもかかわらず、あくまで、どこまでも、なにがあっても自分を貫き通そうとする、そんな色だ。執拗で偏執的で独善的で、どこか狂気じみたところを感じさせる、そんな色だ。狂気というのは、他人を巻き込もうとするからである。

しかし、みずいろ(水色)はそんな色とも違う。独善でも偏執でも自分勝手でもない。それ以前に、他人を無視している。水色はそんなどこかさめた、ひややかな感じのする色だ。しかし、それでいてまた、どこか優しい感じのする色でもある。やさしく、おだやかに、いざない、誘うようなそんな色だ。

偏執とか怨念とか我欲とか、そうした現世に執着する何か個人的な感情というのが水色(みずいろ)にはない。水色はどこかさめた、そしてどこまでも、あくまでも理知的で、冷静で、そんなすき透るような純粋で透明な「色」なのである。たとえば、彼方に見える地平線の色がそうである。

戻る。            続く。


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