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3、かすみ。



みずいろ(水色)は、夏に見る空の色の「青」ではない。青色は優しさなどとは無縁で、もっと冷徹で、残酷なほど無機質で感情のカケラもなく、だれをも無視して自らのみを貫き通すような、そんな色である。暑い夏の鮮やか過ぎる、天空のそらの強い青色(あおいろ)がそうである。また、冬の冷えびえした凍るような、すき透る乾燥したそらの色がそうなのである。

夏のそらも冬の空もどちらも青であって、強い夏の青か、薄い冬の青かである。どちらも「みず色」ではなく「青(あお)色」なのである。そしてこの青に、白(しろ)いろが混じったのが水色なのである。

そしてこの水色とは、つまり光と水の色なのである。生命の色、生命がその中で宿る世界なのである。つまり春の色、新たな生命が現れ出る、その舞台の情景の色なのである。おだやかな光と水の、春かすみの世界なのである。

戻る。            続く。


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