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2a、脱出。



めまいがするし、神経がおかしくなって指先が震えてくるし、息が詰まって息苦しく、見えるものの何もかもが暗く、生彩を欠いた灰色に見えてくるのである。うつむき、内に向かって閉じたまま際限なく沈んでゆく。

だからこそまた、反対に、本当の自分の居場所を求めて、明るさや、あおぎ見る陽光を求めてさ迷い続けるのである。何かを求めて・・・。

イヤ、そんなものではない。それは自分が預かり知らない、自分以外の他人なのであって、自分の外からやって来て、自分を押しつぶして殺しにかかってくる、強制的な力だったのである。あくまでも冷徹で無機質な、残虐なまでの感情を欠いた、意思の強制力だったのである。

あくまでも冷徹で残虐なまでに自己を貫き通す、無慈悲な意志の強制力なのである。自分ではどうにもならず、待つしかないにもかかわらず、待つことを許してくれない、そうした自分の外からやって来て、自分を殺しにかかってくる強制的な力なのである。

戻る。            続く。


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