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いや、そんなものではない。それは自分の預かり知らない、自分以外の誰か他人であって、自分の外からやって来て、自分を押しつぶして殺しにかかってくる強制的なものなのである。 あくまでも冷徹で残虐なまでに自己を貫き通す、無慈悲な意志の強制力なのである。自分ではどうにもならず、待つしかないにもかかわらず、待つことを許してくれない、そうした自分の外からやって来て、自分を殺しにかかってくる強制的な力なのである。 それは自分の中にある悩みとか苦しみといったものではない。そんな自分でどうにかなるような穏(おだ)やかなものではない。それは悩みとか苦しみ以前の、自分の預かり知らない根源的な恐れとか怯(おび)え、恐怖なのであって、そこから逃げ出す以外にないものだったのである。 追い立てられ、押しつぶされそうになりながらも、そこからでて行くしかなかったのである。どこへ行くアテもなく、目的も意図もわからないまま、そこから出て行くしかなかったのである。打ちひしがれ、ぼろぼろになりながらも、休む間もなくそこから出て行くしかなかったのである。 だから僕は、ワケもわからないままアテもなく、自分でもわからない何かを求めてさ迷い続けたのである。そうするしかなかったのである。だからそれは、そうした状態は、そのまま自分というのが押しつぶされて消えてゆくか、それとも、それ以外の何か別のものに自分がなるしかなかったのである。 |
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