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それは肉体の感覚が記憶している、感覚の「感じ方」といったもので、自分の中から聞こえてくる、心臓の鼓動の音色(ねいろ)や抑揚、呼吸する息のリズム、体内の血流の流れや、何かに触れる肌の気配といったものである。そしてそうしたことが自分の中から問いかけ、つぶやき、ささやきかけて来るのである。 そうしたことが、なにかの言い知れぬ身体内部からの衝動や発作として、心の中でよみがえり、そして浮かんできて、映し出され、そしてまた聞こえても来るのである。ワケも理由もなく、前後の何の脈絡も無しにである。まるで夢や幻覚のように。それとは直接の関係のない、何かの弾(はずみ)みやキッカケで突然、表面におどり出てくるのである。 しかしまた、だからこそ、それが衝動なのであり、そしてまた、現実から切り離されたところにある、自己の内面の本能的な「沈黙」、ないし「叫び」なのである。だからまた、それが何かと知りようもなく、理由もわからず、そしてまた、だからこそカタチにもなれず、カタチにならないカタチ、本能とか衝動だけのカタチ、得体の知れないシルエットにしかなれないカタチ、漠然としたマダラな模様にしかならないカタチとして現れて来るのである。あるいは、心の中から聞こえて来る誰かのささやきや、背中で感じる誰かの気配としても感じられてくるのである |
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