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しかし、そんなことは、僕とは全然関係のないことなのであって、興味も感心もなく、そしてそれ以上にどうでもよいことなのである。僕のような他人が入っていって、どうにか出来るようなものでもなく、どうにかしてもならず、どうにかなってもならない世界なのである。 それは彼女、つまり、見知らぬ「美しさ」の象徴としての彼女自身の問題だからである。僕が見ているのは、象徴としての彼女であって、現実の彼女ではないのである。また、現実の彼女であろうはずもなく、現実の彼女であってもならないものなのである。 僕が見ている象徴としての女と、現実に生きている彼女自身は、まったく別の存在なのである。別の人格なのである。現実に生きている彼女が、僕の空想の中の彼女とに分裂しているのである。彼女が僕の中で、外から見える象徴としての彼女と、彼女自身にしか見えない彼女の内面の世界とに分裂している。 そして、僕が見ていて、僕が求め必要としているのは、外見(がいけん)だけの、象徴としての彼女なのである。内面は知らないし、心の中はどうでもよいのである。僕とは関係のないことなのである。容姿だけであって、根性は二の次なのである。およそ空想上の理想を求めているのであって、現実は見てはならないものなのである。 |
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